医療法人デンタルクリニックたかはし





 私たちの体が、幼児期・思春期・更年期を迎えるように、お口の中も年齢と共に変化していきます。幼児期では、乳歯から永久歯に生え代わり、思春期では、親知らずが生えてきたり、更年期では、機能の低下や精神的ストレスなどで過敏に反応しやすくなり、歯周病が進行しやすく、歯を失う可能性が高くなります。
 更年期においては、女性ホルモンの一つであるエストロゲン産生の低下は、さまざまな体の不調を訴えます。骨粗鬆症もその一つの症状で、エストロゲンはカルシウムが溶け出すのを抑え、骨の吸収を調整する働きをもっていますが、更年期にはエストロゲンが減少するためカルシウム不足になり、徐々に骨が弱くなってきます。
 これまで更年期は女性だけの問題のように思われてきましたが、近年、男性の更年期についての問題も多く報告されるようになり、女性と同じような問題が起こる可能性が高くなってきています。
 男性は、女性に比べ男性ホルモン(テストステロン)の現象は緩やかで、テストステロンの減少による骨のカルシウム代謝についての影響は、エストロゲンの減少ほどではないようですが、自律神経の乱れから唾液の量が少なくなり、お口の中では女性と同じように乾燥感やネバネバ感のようなドライマウスの症状や不定愁訴が現れてきます。
 また、お口の中では、カルシウム不足によりアゴの骨の吸収が起こり、歯を支えている骨が痩せてきます。歯はアゴの骨の中に埋まっているため、歯の周囲の骨が痩せてしまうと歯がグラグラしています。また、そのような状態の歯に強い力(強い噛み合わせ)が加わるとさらに動揺が増してきます。
 アゴの骨が痩せてくれば歯肉も下がるので、歯が伸びたように見えてきたり、歯と歯の間に隙間ができやすくなるため食べ物がつまりやすくなってきたり、歯と歯の間から空気が漏れるようになってきたり、歯が動いて前に出てきたような感じもしてきます。
 虫歯になる場所も、根元の歯の質が軟らかい部分からどんどん根元の方へ進行していき、大きく進行してしまうと虫歯で歯が折れる場合もあります。
 歯周病に関しても、更年期と重なって進行すると一挙に歯が動き出し、自然に何本も抜けてしまう場合もあります。
 例えば、このような状態で歯が抜けてしまった場所にインプラント(人口歯根)を入れようとしても、すでに骨が吸収して痩せてしまったり、骨密度が低くなってしまっているとインプラントを入れることができなくなります。
 すでに歯が無く入れ歯になっている場合でも、骨が痩せてしまうため入れ歯が合わなくなり、外れやすくなったり、噛むと粘膜が痛くなったりしてきます。
 更年期には、いろいろな病気が重なってしまうことが多いため、それぞれの症状に対応できるように知識を身につけ、注意して生活することが大切です。

ページの先頭へ