私たちは、初対面やあまりお付き合いのない方とお話『おしゃべり』をするときは、相手のことや周囲のことを考えながら話そうとします。そのためか決して楽しそうに話をしているように見えないことの方が多いのではないでしょうか。
しかし、仲の良い友人や気の合う仲間と『おしゃべり』をしている時は、時間を忘れるくらい好きなことをしゃべり、何のストレスもなく楽しく話をしているのではないでしょうか。友人や気の合う仲間との『おしゃべり』は、普段よりも自然に口を動かすことが多くなり、それにより口の周りの筋肉もよく動き、脳への刺激も加わり、さらに脳が活性化されることで認知症予防にもなります。また、『おしゃべり』をすることで唾液の出る線(唾液腺)が刺激され、唾液の出も良くなり、口や咽喉の渇きを防ぎ、唾液による自浄作用で食べた物も飲み込みやすくなり、唾液中の酵素によって鼻や口から入った細菌などに対する抵抗力がつき、自然に体が健康になっていきます。さらによく噛むことを意識してもらえば唾液の出が良くなり、より効果が上がります。
しかし、全ての人がこのように上手くいく訳ではありません。介護が必要になってしまった場合、毎日時間に追われていることが多い現代社会では、周囲の人がどれだけ高齢者と一緒に過ごす時間をつくることができるかが大切になってきます。高齢になるに連れ、孤独になっている時間がどれだけ長いかによっても、脳の働きは左右されてしまいます。
つまり、介護が必要になった場合、本人の意欲的な気持ちは勿論ですが、周囲の人たちの考え方によって、介護が必要な方の体への影響も変化してしまうと考えられます。
例えば、今まで元気で家族と一緒に過ごしてきた方が、事故で足を骨折し入院することになってしまったとします。高齢ということもあり、思ったよりも入院期間が長くなり、家族は今までどおり接したくても家ではなく病院であることから頻繁に出入りすること
を控えます。本人も家にいたように家族と接したくても接する時間が限られ、環境が変わることで、高齢であればある程、周囲が思っている以上に孤独を感じやすくなります。
高齢者は、家族や親しい方と一緒にいることで、生きがいを感じることが多く、孤立は見た目以上に肉体的・精神的にも負担が大きくこれまで健康だった方が急に認知症が進行し、そのまま治らなくなってしまうこともあります。
また、独居においても、常に外出していた方が、病気で外出できなくなることで、元々人と話す機会が少なかったために孤独感が増し、病気が長期間になることで認知症が進行することがあります。
現代社会は、少子高齢化が進み超高齢化社会になってきています。私たちは、この現状を把握しながら将来の生活環境を考えていく必要があります。
まずは自分の健康を維持していくためにも、周囲に影響されず、自分でできることを確認し、それを継続していくことが大切ではないかと思います。