医療法人デンタルクリニックたかはし






 私たちのお口の中には、常に色々な細菌が存在しています。その中でも体にとって良い菌、悪い菌が存在するため、口内フローラを整える必要があります。

 加齢と共に気を付けなければならないのが歯周病菌ですが、お口の中に存在するミティス菌(バクテリオシンが他の細菌を弱めるマイルドな抗生物質)は、自ら出す過酸化水素によってジンジバリス菌(歯周病菌)の動きを阻害します。
もしジンジバリス菌が多くなってしまった場合には、その働きが追い付かなくなりますが、その時には唾液に含まれるリゾチーム・ラクトフェリンによりそれらの細菌の活動を抑え、細菌がバランスよく生存できるように調整しています。
 しかし、食生活が乱れ(偏食)、歯磨きが適当(自己流)になると口腔内の細菌は乱れ始め、特に糖が歯に付着していると、それまで悪さをする細菌の力を抑えていたミティス菌が糖に引き寄せられて歯にくっ付いてしまい、本来の力を発揮できなくなります。そのような環境になると、ジンジバリス菌がどんどん悪さをし、色々な菌が歯にくっ付いていきます。それらが歯垢であり、さらにジンジバリス菌が唾液も中に入ることができないバリア(バイオフイルム)を作ってその中で悪い菌が繁殖していきます。 その結果、口内の状態が悪化し歯周病になってしまいます。さらに環境が変わらなければ歯周病は進行していきます。
 糖が歯に付着している状態では細菌の増殖が早くなり、一週間もあれば歯にこびりついてしまいます。血液中に細菌が侵入するのは3週間と言われています。
 3週間歯を磨かない方はいないと思いますが、歯と歯の間や舌の汚れ(舌苔)などの磨き残しがある場合、そこからの細菌が血液中に入っていきます。


つまり、全身的な健康を維持するためには、まずは基本的な歯磨きと舌磨きが必要であるということです。


口内フローラを整えるためには・・・


①就寝前・起床時の歯磨きは念入りに!

 就寝時は唾液が出にくく、細菌が繁殖しやすい。そのため起床時のお口の中は細菌が一番多い。


②毛先の細い歯ブラシで歯周ポケット内に毛先が入るように磨き、やわらかい歯ブラシで歯肉をマッサージする!

 ただ磨くだけでなく歯と歯の間に毛先を入れて微振動させる。歯間ブラシやフロスも一緒に使用する。


③過度の睡眠不足は禁物!

 自律神経が乱れると唾液の分泌が悪くなり、細菌が増殖する原因になる。


④口呼吸をしないようにする!

 口が乾き、さらに唾液が出にくくなるため、細菌が増殖しやすくなる。口から悪い菌が入りやすくなる。


⑤食生活の改善

 ビタミンDとビタミンAが不足すると唾液が委縮するため、できるだけ摂取するようにする。

◎ビタミンD→青魚に多い   ◎ビタミンA→レバーに多い


⑥食事中はよく噛む!

 やわらかい物でもよく噛むことで、唾液の分泌が促され、消化だけでなく歯を強くするためにも良い。


⑦その他

 抗菌物質を含んでいるもの(お茶・ハチミツ)などは、虫歯菌や歯周病菌を抑える効果がある。


◎一般的な洗口液の落とし穴



バイオフイルム(タンパク質の膜で覆われている)は、細菌の抗菌力を500倍に上げると言われていますが、それを除去するために強い洗口液を使用すると、良い菌が先に影響を受けていなくなり、バイオフイルムで守られた悪い菌が残ってしまい逆効果になります。洗口液は、タンパク質が除去のできる刺激のない洗口液を選ぶことをお勧めします。

 当医院では、歯磨き前に30秒のうがいをしていただくと、お口の中の良い菌に影響を与えず、バイオフイルムの膜であるタンパク質を除去できるうがい薬(ペリウォーター:電解次亜塩素酸水)をお勧めしています。

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