歯を失う多くの原因は、口腔二大疾患である虫歯と歯周病と言われていますが、もう一つ忘れてはいけない原因に噛み合わせ(咬合)があります。虫歯や歯周病は細菌感染により、歯・歯周組織・歯槽骨にダメージを与えますが、噛み合わせは歯と歯が強くぶつかること(外傷性咬合)により、歯にダメージ(咬合性外傷)を与えます。そのダメージを与える衝撃は、歯の一番硬い層(エナメル質)にヒビが入ったり、かけたり、歯を動かしたりします。
特に歯周病は、歯周病菌による感染症(骨を溶かす)と咬合性外傷(歯を動かす)の両方が考えられるため、歯周病菌を減らしながら噛み合わせの調整が必要になります。
歯にダメージを与えないためには・・・
①左右バランスよく噛むように意識する!
片噛みの癖をつけてしまうと必ず歯にダメージを与えてしまうため、時間と共に歯・歯周組織・歯槽骨の崩壊が始まります。そして、崩壊 した側で噛むことができなくなるともう一方で噛むようになり、こちらも時間と共に歯の崩壊が起こり、最終的には両奥歯で噛めなくなるため前歯で噛むようになり、その影響で前歯が前方へ出てきたり(出っ歯状態)、グラグラ動いてきたりします。すべての原因は、片噛みから始まっていますので、片噛 みを防ぐには、 噛み にくい側で柔らかい物(ガム・麺類・ごはん等)から噛む癖をつけることが大切です。
例えば、硬い物・歯ごたえのある物はもともと癖のある側で噛み、柔らかい物は反対側(あまり使っていな い側)で噛む。
②噛み合わせで違和感があったらそのまま放置しない!
違和感があるということは、何か問題が起きているということになりますので、一時的に感じなくなる場合 もありますが、その場合はほとんどが悪い噛み合わせに慣れてしまっている状態です。
歯の崩壊を防ぐためにもそのまま放置せず、違和感があるときには早期に検査を受けることが大切です。
③歯が無いままの状態で放置せず、早期に元の状態に戻るような処置を受ける!
歯が無くなることで片側に負担がかかり左右のバランスが崩れていきます。歯が無くなった後の処置としては、 入れ歯・ブリッジ・インプラントなどがありますが、無くなった部分や本数により処置が異なるため、説明をよく聞いて相談することが大切です。
※『左右でよく噛むように』は、硬い物をよく噛むということではなく、『左右バランスよく噛む回数を増やす』という意味です。
噛む回数を増やすためには、自分のお口に入れる量を考えなければなりません。また、大きい物を噛む場合には、一口で食べようとせず、予め食べやすい大きさに切って食べる工夫も大切です。