私たちの顔や体系は、パッと見て家族の誰かと似ていれば遺伝が関係していることが直ぐに解ります。しかし、見えない部分においては、遺伝が関係しているかどうかは直ぐには解りません。その一つに、お口を開けないと解らない歯の形や歯並びがあります。歯の大きさ・長さは、人によって異なり、親子で何本か同じ形をしている場合もありますが、すべて同じではありません。
特に外形やお口の中のバランスは機能的に重要になってきます。その中でもアゴの骨の大きさは、遺伝によって左右される可能性が高いように思われます。
見た目で一番わかりやすいのが、下アゴの骨が上アゴの骨より前に出ている『うけ口』です。次に上アゴの骨が下アゴの骨より前に出ている『でっ歯』です。特にうけ口に関しては、かなり高い確率で遺伝が関係していると考えられます。家族の中で一人でもそのような状態の方がいるようであれば、子供への影響が心配されるため、できるだけ早い時期(幼児期)からの経過観察が必要になってきます。
見た目で分かりにくいのは、お口の中の状態です。例えば、大きい歯の遺伝を父親から受け、小さいアゴの骨の遺伝を母親から受けた場合、小さいアゴの骨に大きい歯が並ばなければならないため、歯並びが悪くなる確率は高くなります。逆に大きいアゴの骨の遺伝を父親から受け、小さい歯の遺伝を母親から受けた場合、スペースがあり過ぎて歯と歯の間に隙間ができた状態になります。
また、お口の中には舌があります。舌の大きさはあまり遺伝とは関係がありませんが、もしアゴの骨が小さく舌の幅が大きかった場合、舌が歯列に乗っかった状態となり、舌を噛みやすくなったり、食べ物をうまく奥に運べなくなり食事に時間がかかる場合もあります。また、舌が極端に長かったり短かったりすると、話しにくくなり、発音に影響する場合もあります。
お口の中には、歯はもちろん、上アゴ、下アゴ、舌、粘膜、小帯などがあり、それぞれがバランスよく機能して成り立っています。そして、遺伝が関係していると考えられる組織は、両親からバランスよく受け継がれると良いのですが、なかなかそう上手くはいかず、機能的な問題が発生してきます。
遺伝に関しては、事前に防げることが多いので、気になり始めてからではなく、家族みんなの体の状態を前もってよく理解しておき、遺伝が考えられるようなことがあれば、早い時期から専門医に相談し、アドバイスを受けていくことが大切です。
※受け口は隔世遺伝からきて いると言われています。
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