私たちは、日常で『舌』についてあまり意識をしたことがないと思いますが、実は『舌』の機能は子供から大人、特に高齢者には大変重要な役割をしています。
鏡で『舌』を見てもらうと、全体が薄ら赤くザラザラしているように見えると思います。
このザラザラした部分は、異物の排泄・食感に役立ち、舌の粘膜を保護してくれる絨毯(じゅうたん)のような役割をしています。
このザラザラがなくなると、平滑舌(へいかつぜつ)という血管が透けて見えるような状態になり、少し触れただけで痛みを感じやすくなります。
平滑舌には、ドライマウス(唾液が出なくなるために乾燥する)、鉄欠乏性貧血(重度な貧血により粘膜の再生が行われない)、亜鉛・ミネラル不足があげられます。
通常、舌のザラザラ部分は再生しますが、唾液が出にくいとすぐに再生が難しくなり、特に舌がピリピリしていたいようなときは、唾液の分泌量を増やすための薬があるので、かかりつけ歯科医院に相談された方が良いかと思います。
そして、舌を前に伸ばすと奥の方(舌根部)に赤いポツポツした膨らみ(有郭乳頭)が見えます。
これは、誰にでもある物で、脂肪を分解する液を出したり、味を感じたりします。
『舌』の表面の状態に歯、地図の模様のような地図状舌・深い溝のように見える溝状舌・黒い毛が生えたように見える黒毛舌などといった色々な種類があります。
見た目は違いますが、痛みの症状がなければ問題ありません。
このように普段私たちは、『舌』の表面だけを見て状態を判断していますが、実は見えている部分は一部分だけで、喉の下の方まで繋がっています。
『舌』の厚さは約5センチくらいあり、大きな筋肉の塊になっています。(舌=筋肉)
低位舌とは、『舌』が低い位置にあることを言いますが、『舌』の筋肉が低下し、自分の重みを支えきれなくなり下がってしまった状態でもあります。
正常な『舌』の位置は、お口を閉じたときに必ず上アゴにくっついています。
この動作が物を飲み込むときのスイッチになっています。(飲み込みのスイッチ=舌が上アゴにくっつく動作)
低位舌は、この動作ができないため、寝ているときに気管が塞がれて起こる無呼吸症候群や、口呼吸・二重アゴ・物を上手く飲み込めないために気管に入り、肺炎(誤嚥性肺炎)になりやすくなります。
【低位舌の簡単な見分け方】
①舌が低い位置にあるため舌の側面に歯型がついてギザギザしている。
②お口を閉じたときに舌がアゴについていないため、舌の表面が白く汚れているように見える。
③10㏄くらいのお水を口に入れ、お口を開いたまま上アゴと舌の間にお水が漏れないように挟み、この状態で前歯を合わせて(唇は上がったまま)お水を飲み込めない。
※①~③の儒黄体が当てはまる方は、低位舌の可能性が高くなります。低位舌の状態のままでは、将来色々な問題が起こってきますので、年齢を問わず早い時期からの治療が必要になります。
【低位舌の治療方法】
一番簡単で効果的な治療方法は、NHK『ためしてガッテン』でも紹介されていましたが、一日に一度だけ『ベ・ロ・は・タ・カ・ラ』を20回連続で声を出しながらゆっくり一文字ずつ大きく繰り返すことです。
○ベは、舌を前に出しながら
○ロ・タ・ラは、舌の先を上アゴにつけるようにしながら
○は・カは大きく開くようにする
※低位舌の方は、普段あまり舌を動かしていないため、このトレーニングをすると舌がピクピクすることがありますが問題ありません。
NHK ためしてガッテン 2012年4月18日放送