医療法人デンタルクリニックたかはし





 日本人の身近な病気と言えば糖尿病(生活習慣病)が挙げられますが、一般的に食べ物を摂取すると、それが消化され血液中に糖が出て血糖値が高い状態になります。このままでは高血糖になってしまうため、各細胞がこの糖をエネルギーとして使ってくれますが、ただ糖があるだけだは細胞は取り込むことができません。それを手助けしてくれるが膵臓から作り出されるインスリン(ホルモン)です。このインスリンが細胞に糖を取り込むように指示する役割をしてはじめて血糖値が下がります。また、頭を使うと血液中の糖が脳へ行き、脳で消費されます。(血糖値の正常な方で、脳は糖を1日約100g消費すると言われています)
 血糖値が高い状態が長く続くと、体全体に糖があふれて毛細血管にダメージを与えてしまうため、インスリンは急いで糖を細胞へ運び、体の危機を優先して減らそうとするため脳(首から上)は後回しにされ、脳の一部は糖不足(脳の多くの細胞は、糖が運ばれないとエネルギーにすることができない)になります。
 つまり血糖値が高い方は、体にはたっぷり糖があるのに脳に糖が不足(糖を取り込みずらい状態)していて、特に脳の中でも耳の奥に位置する『海馬』周辺で糖不足が起きます。海馬は、糖を必要とする記憶の部分のため、そのダメージが顕著に表れ、物忘れが起きてしまうのです。少し血糖値が高いくらいでも起きてしまうため、気付かないうちに認知機能は低下します。そして、脳にインスリンが届かないと脳の神経細胞が働かなくなり、脳へダメージを与え、このような状態が長く続くことで脳細胞が死滅し認知症になります。このことから、認知症の中でも半数を占めるアルツハイマー型認知症と、血糖値はかなり関係していることが分かります。
 物忘れが起きていないかをチェックするには、健康診断結果のHbA1c(赤血球に存在するヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの:1~2ヶ月の血糖値の平均を示す値)を見ていただくと分かります。

 

 HbA1cの数値の高い方、すでに物忘れが始まっている方は、早めに血糖値をコントロールすることで、つまり脳でインスリンの働きを高めることで改善する可能性が高くなるため、『糖分を抑えた食事のコントロールや適度な運動』など生活習慣の改善が最も大切になります。
 また、糖尿病と歯周病は密接な関係にあり、これまで歯周病を予防することで糖尿病を予防することができると言われてきましたが、それだけでなく認知症予防も同時に行われることになりますので、お口のケアはとても重要になってきます。周囲に左右されず自分で知識を高め、健康寿命を延ばしましょう。

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平成30年7月2日更新


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