医療法人デンタルクリニックたかはし





 今回は、放置しておくと、将来、ロコモティブシンドロームや、骨粗しょう症性骨折の原因となり、引いては寝たきりの原因にもなると言われている『サルコペニア』の現状と、予防対策についての内容になっています。
 『サルコペニア』とは、ギリシャ語でサルコ(肉)ペニア(欠乏)と呼ばれ、年を重ねると共に筋肉の量が減少し、機能が低下することから、加齢性筋肉減少症とも言われています。サルコペニアは、立ち上がりや歩行に必要な筋肉に多くみられ、例えば、頻繁につまずいたり、立ち上がるときに手を突くようになると症状が進んでいると考えられます。特につまずきは、当人や周囲が注意力不足のせいだと思い込むことがあるため、筋力の低下が原因と気付かないことが多く、注意が必要です。サルコペニアは、進行すると歩行が困難になる他、体を支える筋肉の低下による歩行時の転倒や骨折の原因となり、さらに寝たきり・嚥下障害・呼吸障害が加わると日常生活の活動能力が低下するだけでなく、自立心の低下や脳障害も進行するため、これから高齢化が進む日本においては深刻な健康問題となってきます。
 また、筋肉が減少することと肥満が合併した状態を『サルコペニア肥満』と言い、日常的に運動量が少ない人は、サルコペニア肥満になる確率が高くなると言われています。どちらの症状も25~30歳頃から徐々に始まり、原因は、主に筋肉の使用不足(不活動)であり、その他にも複数の要因が影響していると考えられています。
 特に年齢の若い方おいて、注意しなければならないのが食事制限のみによるダイエットです。ダイエットは、体について余分な脂肪を減らすことが目的ですが、多くの場合、同時に筋肉の量も減らしてしまいます。筋肉の量が減ると、それだけカロリー消費量も減ってしまうため、せっかくダイエットをしても以前より脂肪がつきやすい体になってしまい、サルコペニア肥満の原因になることがあります。
 サルコペニア肥満の場合、高血圧症になるリスクは、男性1.7倍、女性2.3倍になることが分かっています。
また、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞などの死に至る生活習慣病を発症する可能性も高くなり、糖尿病においては、危険因子の値が19倍にもなります。

サルコペニア・サルコペニア肥満の予防対策

 日常的に運動量の少ない人は、サルコペニア肥満になる確率が高く、従来から言われているとおり、運動と栄養補給の併用が 効果的であることが分かってきています。


【運動・トレーニング】
 筋肉や筋肉量の向上のためのトレーニングにより、進行の程度を抑えることができるため、歳を重ねる毎に 意識的に運動強度が 大きいレジスタンス運動(筋力トレーニング)を行うことが大切 です。 現在、スポーツジムに通うのは若い人だけでなく、高齢者も増えています。
【栄養補給】
①摂取カロリー
 特に高齢者に関しては、摂取カロリーが減少していくため、運動 を併用しながら摂取カロリーを増やしていくことが大切です。
②必須アミノ酸
 経口摂取により筋肉量、歩行スピード、筋力が改善するとの報告 があります。
③ビタミンD
 栄養素の中でも、特にビタミンD(1日当たり800~1000IU)単 独でサルコペニアに寄与すると言われています。

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