医療法人デンタルクリニックたかはし






 インフルエンザは、11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。特に空気が乾燥した日が続くと感染率が一段と高くなります。
 普段から気を付けている方でも、人混みの中や人と対面する機会が多い方は、そうでない方に比べ感染する確率が高くなります。
 予防としてよく言われているのが、手洗い・うがい・マスクですが、もう一つ忘れてはいけないのが『お口のケア』です。
 最近の研究から、お口の中の細菌がインフルエンザウイルスの感染を促進する可能性があることが分かってきました。
 インフルエンザの感染拡大経路は、まず体内に取り込まれた後、細胞内で増殖し子孫ウイルスが形成されます。しかし、このままでは子孫ウイルスが細胞表面に結合した状態にあり放出できません。
 そこでインフルエンザウイルスが持つNA(ノイラミニダーゼ)という酵素が子孫ウイルスと細胞との結合を切り離します。そして、放出された子孫ウイルスは、ほかの細胞へ感染できるようになり感染が拡大します。
 私達がインフルエンザに罹患した時に服用する薬の多くは、このNAの働きを抑える薬なので、NA阻害薬と言われています。
 ある実験では、お口の中の細菌でもNAを分泌する細菌が存在し、その細菌は細胞外へ放出されたインフルエンザウイルスの量を20倍にも増加させることが分かってきています。また、これらのお口の細菌の存在下では、タミフルやリレンザと言った抗インフルエンザ薬の作用が弱まってしまうことも分かっています。
 つまり、NAを分泌するお口の中の細菌がインフルエンザウイルスのNAの代わりに働き、インフルエンザウイルスの放出を助けてしまう可能性があるということです。
 この細菌は主に歯垢や舌などに生息していてるため、お口の中の清掃状態が良くない環境の中では、この細菌が分泌するNAが増加し、さらにインフルエンザウイルスの放出を促進させ、感染拡大に繋がります。
 これらの状況から、感染拡大防止対策には歯磨きが大切であることが分かります。
 できれば自己流ではなく『個別に指導を受けた歯磨き』をお勧めします。


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平成31年2月6日更新

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